五時四十五分起床。令和最初の日となる。ニュースから昨夜の大騒ぎの様子が次々と聞こえてくるが、新年のような、あるいはハロウィンのような、さらにはサッカーワールドカップで日本チームが勝利したときのような馬鹿騒ぎとはおよそ無縁だったようで、警察の管理体制が功を奏したと言うこともあるのだろうが、騒ぐというよりは、喜び合いながら迎えるという感覚に近い。ただ、その喜んでいる人たちがどことなくもやっとして、あるいは空白のようなものを抱え込んだまま喜んでいるように見えるのは、改元を祝うという経験が存命する日本人にはまったくないからなのだろう。祝賀にもノウハウ、経験知が必要ということか。
降ったり止んだりの雨。仕事。
読書は片岡義男「窓の外を見てください」。主人公は若き小説家らしく、彼のネタ探しの様子がそのまま小説化されている、という側面もあるため、ちょっとメタ文学っぽいというか、二重の構造になっている。主人公の行動は気ままで迷走気味、しかし他者に翻弄されているのではなく、その場の流れと思い付きという感覚は強いものの、ある程度自分自身の意志が関わっている。この微妙なスタンスが、いかにもこの作家っぽいと思う。