わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

保坂和志「鉄の胡蝶は記憶の夢に歳月の掘るか」(19)

「群像」2020年3月号掲載。語り手が以前ムーミンのミイのラグを買った店の店主の、従兄妹同士のほのかな感情、映画館で語り手が見かけた「ニューシネマ・パラダイス」を見る華奢な女の子とゴツい男の子のカップル、そしてルネだかルノワールだかの展覧会のポスターを見て「わたし、これ模写したことあるよ」「ボシャ?」と会話する元美術部の女性とガタイのいい男性。不思議な取り合わせだからこそ感じられる幸福感。保坂和志の作品は過去にいろいろ読んできたけれど、この部分は、『季節の記憶』でクイちゃんが本を一生懸命音読するシーンの次に好きだ。

 

 

群像 2020年 03 月号 [雑誌]

群像 2020年 03 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: 雑誌
 

 

季節の記憶 (中公文庫)

季節の記憶 (中公文庫)

  • 作者:保坂 和志
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 文庫