「群像」2020年9月号掲載。特集「戦争への想像力」の小説。
1章目から一転、戦争が始まり香港は占領され、日本軍はペニンシュラを摂取して司令部を置く。小さな業界新聞紙の編集長をしていた元外交官の日本人・谷尾はスイートルームに開戦前に親しくしていたイギリス人、中国人の友人を招き、軍属としての自分の仕事を手伝ってくれと依頼するが…。
きな臭いニオイは作品前半から漂っていたのだが、開戦するとそのきな臭さは物理的な破壊のほうにむかわず、文化や人間関係の崩壊に向かっていく。
少しだけ今の香港の状況と世界を重ね合わせて読んでしまう…。