「群像」2020年11月号掲載。
「群像」で大江健三郎論を展開してきたベテラン文学者と、昨年全巻が刊行し終えた「大江健三郎全小説」の全巻の解説を担当するというとんでもない仕事を成し遂げた元読売新聞記者の文芸評論家の対談。彼女たちの対談から、大江作品を「女性」という視点で読んでいくと、かなり早い時代から大江がジェンダーの問題に関心を寄せていたことがわかった。自分は男性だから、こういう視点では読まなかったな…。魅力的な人物像、不思議な人物像、そんな印象だけで、性差別にまで思いを馳せて読むということをしなかった。それ以外に「ひっかかり」の要素があまりに多いからななあ…。