「群像」2020年6月号掲載の集中連載評論。ようやく読了。
大江が生み出した「ギー兄さん」というキャラクターの背後に柳田国男の存在があったというだけではなく、実は大江の四国の森の世界観の構築にも柳田は大きな影響を与えている。四国の森は、大江の世界文学志向が土着的な信仰と地形学的な視点とが重なりあうことで生み出されていると思っていたけれど、その土着的な信仰が実は四国の伝承だけに由来しているのではなく、柳田の民俗学的な視点や知識が反映されているとまでは思い至らなかった…柳田、あまり読んだことがないのだが。