あけましておめでとうございます。このフレーズがおかしなことになっている年賀状を、小学生の時だったか、受け取ったことがあるのを急に思い出した。「あけまおしてまめでとうございます」と書いてあった。なぜこう書かれていたのかを本人に尋ねた記憶があるのだが、答えは覚えていない。そして、その「本人」が誰だったのかも覚えていない。ただ、この妙なフレーズだけが、それから四十年以上、ぼくの記憶の深いところに刻み込まれていて、正月になると、ふと思い出す。
五時四十分起床。いつもどおりだ。身支度、食事を済ませてから、午前中は延々と、元旦の朝刊に掲載されていた広告のスクラップ作業を行う。広告のキリヌキは毎朝の日課なのだが、元旦は数が多いから、午前中いっぱい、たっぷり時間がかかる。ここ数年、アイデア勝負のユニークなものはどんどん減り、自社がどのように社会に役立っているのかを訴求したり、どんな未来を思い描いているのか、どんな挑戦をしているのかを伝える真面目な広告がどんどん増えている。これは元旦広告に限ったことではなく、テレビCMもこの傾向が強くなっている。一方で、商品をダイレクトに訴求する健康食品の通販広告も増えているから、CSR系・コーポレートブランディング系とダイレクトマーケティング系の二方向に集約される傾向がどんどん強まっているということなのだろう。ぼくはマス広告はほとんど手掛けずパンフレットの案件が比較的けれど、受注している案件のうち、CSR系が占める割合は確かに増えている。
午後はランニングへ。妻はうちから歩いて十五分の場所にある実家に顔を出すという。コロナが再流行する懸念があるなか、ぼくまで義父母宅に居座ってしまうとかなり密になってしまうし、義父は脳梗塞の手術をして療養中、今感染させるわけにはいかないので、遠慮しておくことにした。しかしちょっとさみしいので、ランニングの途中に顔だけ出して、玄関先で挨拶した。みんな元気そうだ。
義父母宅で分けてもらったお寿司とおせちで夕食。夜は毎年楽しみにしている「ウルトラマンDASH」を観た。
竹田青嗣『意味とエロス』。現象学における認識論、言語論がつづいていたが、ようやくタイトルにある「エロス」の部分に踏み込むところまでたどり着いた。理解しながら読むという作業なので(それでもどこまで理解できていることやら、という感じではあるが)、とにかく遅読。でもやっぱり、現象学は面白い。
井戸川射子『ここはとても速い川』。切なさと無邪気さの同居。そのアンバランスさから生まれる不思議な感覚は、小学生男子ならではのものかもしれない。