応挙、司馬江漢、若冲、蘆雪といった江戸後期の巨匠(ってコトバは彼らにはあまり似つかわしくないなあ)たちが描くドウブツの作品ばかりを集めた企画展。カミサンは猫作家、すなわちドウブツ(猫だけだけど)専門の絵描きだから、仕事上のお勉強も兼ねて。スタジオ・キャットキックは向上心に燃えているのだ。
展示ゾーンは「神性」「科学と好奇心」「迫真の妙」「もの思う動物」「子犬と虎」「奇と個性」「情景」と分けられている。ゾーン名を見るだけでも、当時の動物画のテーマ(描いている本人たちはあまり自覚していなかったとは思うが)が豊富にあることがよくわかる。個人的には、動物を観る視点がグッと下がり、描く対象ではなく、ニンゲンとおなじく魂と肉体をもって生きる存在であり、愛すべき対象としてとらえられていた感がより強まっている「子犬と虎」の子犬シリーズ、喩えは悪いが女体を想像し興奮する童貞の中学生みたいに想像力ばかりが暴走した状態で、見たことのない未知の存在である「虎」というドウブツを必死になって描こうとした虎シリーズ、それから狩野派をぶっ壊せ!とパンクな感じで(と思っていたかは知らんが)、対象も画法も構図も自由に動物を描いた「奇と個性」のゾーンがお気に入り。以下、気になった作品。
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「神性」「科学と好奇心」「迫真の妙」「情景」…特になし(いい絵はいっぱいだったけどね)
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「もの思う動物」
- 長澤蘆雪「若竹に蛙図」…無駄をそぎ落としていったら、絵の中に残ったのは蛙の「視線」だけだった、ということか。だから蛙が何を(どんな思いで)見ているのかが気になってしまうのか。
- 源?「双兎図」…ドウブツのアタマのなかのわけのわからなさを、わけのわからぬまま、つまり理解しようとせぬままに描いている? それでいいのだと思う。「写生」の精神の萌芽を見た、といったら大袈裟か。余談だが、egbridgeで「源?」が一発で変換されたのでびっくり。
- 歌川国芳「其まゝ地口猫飼好五十三疋」…もう、好き勝手なことばかりしている猫が、好き勝手に描かれちゃっているもんだから、猫好きにはたまらん一枚。
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「子犬と虎」…ほぼ全部スゴかったのだけれど
- 長澤蘆雪「一笑図」…無邪気の粋を集めたような奇跡の一枚。
- 仙崖義梵「犬図」(画像)…「きやふんきゃふん」と鳴き声が書いてある。しりあがり寿かと思った。テキトーという名の技巧。犬への愛に満ちた一枚。ホントは「崖」の字は山カンムリはナシ。
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「奇と個性」