わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

佐々木敦「新・私小説論」第五回 反(半?)・私小説作家たち

「群像」2016年4月号掲載。

 大江健三郎が若い頃に書いた「私小説ABC」を起点に、私小説に対する痛烈な批判が展開される。戦後の私小説の定形は志賀直哉によって確立されたとされるが、大江だけでなく、大岡昇平もが、私的なことを書くことの浅さ、「私」にこだわることのあやうさを主張する。島尾敏雄『死の棘』がボロクソに言われているのには驚いたが、確かに一理ある。作者はさらに、安吾や織田作の私小説批判も紹介。そこから、私小説に文学的な(それとも文学を超えたところでの?)可能性を見出そうとする。というところで今回はおしまい。

 志賀直哉はほとんど読んでないなあ。本棚に文庫があるから読んだのだと思うが、さっぱり覚えていない。『死の棘』は、逆に読み返そうかな、とも思った。それから、大江健三郎。あの作風は私小説の超変形とも考えられるのだが。

 

群像 2016年 04 月号 [雑誌]

群像 2016年 04 月号 [雑誌]

 

 

 

死の棘 (新潮文庫)

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万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

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個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10)

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佐々木敦の作品はこちら。実は、書籍は一冊も持っていないし読んでもいないです。