「群像」2017年2月号掲載。
一人称とは何か。文学作品における語り手の一人称、日本語の一人称といった問題から、「作者と作品を切り離して読む」というロラン・バルトのテクスト論をすり抜けるように否定しつつ、佐々木は「作者0」という概念を提唱する。読者は作者のことを念頭に置きながら作品を読むわけだが、そこで思い描かれている作者像は実在の作者とは同一ではない。そしてその作者像は文学作品における語り手の設定に大きな影響を及ぼす。ちょっとややこしい概念なので、興味がある人は読むべき。…って、そんなにいないか、そんな人は。