八十年代に発表された短編集。深い思索を繰り返しながら妙な迷走を続ける『挟み撃ち』が大好きなのだが、本作も、不思議な感覚に満ちているようだ。
「ピラミッドトーク」。タイトルは、ピラミッド型の音声通知式目覚まし時計のこと。何度も音声を出して時間を再生するシーンにチラリと伺えるパラノイア的な狂気。油断すれば、すぐに迷路に迷いそうな感覚が作品全体を覆っている。
- 作者: 後藤明生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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