わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

鷲田清一『ちぐはぐな身体 --ファッションって何?』

 90年代に発表された鷲田さんのファッション論だが、「身体」という視点から書いているところがおもしろい。ヒマをみて、ちまちまと読み進めている。

 身体性とオタクの関連性について言及している箇所が興味深かった。自分とは「他者の他者」、すなわち他人からどう見られているかという、「見られている自分」こそが自分であるという認識が、「見られても恥ずかしくない→評価される→愛される」というルートで人をダイエットや潔癖症に向かわせるという分析はおもしろい。そして、いわゆるオタクは「見られて恥ずかしくないということを放棄する→社会から断絶するために自分の世界の殻に閉じこもる→オタク化」という手順を踏んでいるとも指摘。うん、確かに90年代はそうだったと思う。今風に言えば、当時のオタクはみんなキモヲタだった。でも今は違う。オタク同士のネットワークが確立され、閉じこもった世界の中で「他者の他者」が確立されている。また、自分の殻に閉じこもることなくオタクの世界に突っ走っていく人は決して少なくない。オタクという生き方が社会権を得ている、ということなんだろうなあ。

 

↓モデルが着ているのはぼくの愛するYohji Yamamotoです。 

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)

 

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