三月十一日。あれからもう干支が一回り以上しているのか。自分は大切な人を失ったりなどはしなかったが、今なおあの時の体験に苦しんでいる人や、苦しみが続いているひとはいるのだろう。災害の被害はしぶとい。しかし、それ以上に人間もまたしぶとい。
五時四十分起床。雲が多い朝。陽が差していないのに、珍しく早起きした葵が家中をうろうろしている。書斎のカーペットで爪とぎをしていた。
仕事。某旅行会社、某土木会社、そして某金属加工会社の案件。どうまとめればよいやら、皆目見当がつかなかったが、なんとか見えてきた。
十六時、近所のクリニックへ。喘息の検診。問題ナシ。花粉症の薬としてこの季節だけ処方してもらっていた「エバステル」(のジェネリックのエバスチン)が、生産終了になったそうだ。別の薬に変えるとのこと。
夕食を食べながら、昭和時代のCMやらドラマやらから違和感を見つけるクイズ番組をちらっと見た。ぼくは昭和生まれ。それゆえに、なのだろうが、今の常識で考えるとおかしいことに気付かなかったりする。
片瀬チヲル「そこで火を焚く」(「群像」2025年4月号)を読みはじめた。この作家の作品は初読。そもそも、この方のことをまるで知らなかった。ひとまず何も知らぬまま読むつもり。で、作品。SNS関連の、ちょっと普通の人が敬遠しそうな仕事に就いている主人公、そして無職ライフをエンジョイしているらしいその姉、さらに主人公が砂浜で見つけた、全身黒づくめの焚き火に勤しむ女性。描写の巧みさ、設定のおもしろさなどが相まって、非常におもしろい感じ。


