わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

堀江敏幸

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(27)

「群像」2020年9月号掲載。 少しだけ読んだ。章が変わり、阿見さんの視点から丕出子さんの視点へと切り替わる。三人称多元描写で書かれているが、世界観がしっかり構築されており、視点となる主人公たちの性格描写や心理描写、そして過去の経験なども回を重…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(26)

「群像」 2020年8月号掲載。 今月分読了。場面は変わり、丕出子さんと野球好きな父親との会話。今度は謎めいたお客について語りあうのではなく、父親のモノの考え方や記憶を軸に、遠回りするように、そしてそのお客、すなわち阿見さんのことをササッとかすめ…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(26)

「群像」 2020年8月号掲載。食堂の料理人である笛田さんとその妻。会話の中に現れる、何者なのかわからないお客さん。毎回おなじカレーを食べ、コーヒーの回数券を利用し、食堂では古い文庫本を静かに読みふけるその様子は大学の教授のようだ、しかしこのお…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(28)

「群像」2020年7月号掲載。 戦死した父の形見の文庫本をゆっくりと、気になるところを手帳に書き写しながら読み進めるのを日課にしている初老の男性・阿見さんは、トラックのバックする時の音を聞いて父と戦争の記憶をよみがえらせる。だが、おそらくそれは…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(27)

「群像」2020年6月号掲載。「いちば食堂」のふたりの鯖談義から今回ははじまる。体幹とバランス感覚をバナナで喩えるという不思議な話も気に入った。へんに気取らない自然体の文体。崩れているのではなく、品格と知性に満ちているのだが、それが表面に強く表…

一緒に夢の記憶まで

今朝も五時四十分起床。妙ちきりんな夢を見たが、尿意に負けてしまい、メモを取る前にトイレに駆け込んだら、尿と一緒に夢の記憶まで排泄してしまったようだ。何も覚えていない。残念。 仕事。朝イチで某案件の資料を読み込み、不明点をざっとリストアップし…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(26)

「群像」2020年5月号掲載。 背中の痛みが取れて身軽になった阿見さんの、過去に対する「ひっかかり」のような感覚を、そろばんの珠の動きと音などに喩えて表現しているのだが、そこに生まれる大きな人生の流れのようなものが、とても魅力的に感じる。不思議…

堀江敏幸「二月の次に七月が」(24)

「群像」2019年12月号掲載。記憶を辿るということ。幸せも、ちょっと避けたかったことも、でも向き合わなければいけないことも、どうでもいいことも、すべてが今につながっている。 メディア: この商品を含むブログを見る メディア: この商品を含むブログを…

半分干からび

五時四十五分起床。四時ごろだたろうか、妻がゲロ臭い、ゲロ臭いと騒いでいるので目が覚めた。葵がどこかにゲロしたらしいのだが、発見できないという。だが、ぼくが起きたらすぐ見つかった。妻の枕元にかなり近い場所で、半分干からびかけていた。 仕事。某…

考えたくなったから考えた

五時四十分起床。早朝から慌ただしく作業し、早めの朝食を済ませてから外出。西荻窪の住宅街に、かすかではあるが金木犀の香りが漂う。 十三時、新宿某所にて新規案件の打ち合わせ。新しい仕事の打ち合わせは刺激が多く、学ぶところも盛りだくさんで楽しい。…

雨とレトルト

五時四十五分起床。いや、騒々しく響く雨音で五時に目が覚めた。マンションの裏手を流れる善福寺川が決壊するのではないか、と心配になるほどの降り方だったが、もちろんそんなものは杞憂だ。雨は新聞を取りに行く時間、六時半にはほぼやんでしまい、空は雲…

ひきずる体調、秋の雲

五時四十五分起床。昨夜の体調不良をまだ重くひきずっているようで、朝の身支度のすべてが緩慢になる。気分が悪いということはないが、体が重い。そういえば、昨夜は四度も小便で起きた。そして今朝は軽く下痢をしている。 曇天。空を覆う雲が微かに秋めいて…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(21)

「群像」2019年3月号掲載。 同級生であり、雇用関係にもある二人の男の会話。この小説は基本的に会話劇なのだが、大きな物語があるわけではなく、市場にある食堂を軸にした人間関係の広がりを、俯瞰的に描くというのが基本的な内容。会話の中には小さな物語…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(20)

「群像」2019年2月号掲載。 なんだろ、「群像」における「男はつらいよ」じゃないけど、そんな感じの存在感になりつつあるようなw 白菜の漬け物を仕込む作業中に倒れ病院に運ばれた女性の手を握る夫。その手に、漬物の塩のじゃりっとした粒が付く。女性はそ…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(19)

「群像」2019年1月号掲載。 市場の食堂のスタッフと店に訪れるお客たちの会話や記憶が巧みに紡がれているのだが、彼らの記憶を通じて、その世界観が少しずつ広がりはじめているような…。 群像 2019年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/1…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が(18)」

「群像」2018年10月号掲載。連載開始当初は、ドラゴンボールの孫悟空風に言えば「オラ、ワクワクすっぞ!」って感じで読んでいたのだが、もう連載18回。まだワクワクしている。ワクワクの性質はドラゴンボールとはまったく違うけど。 父の形見の文庫本を読み…