わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』

「トゥワイス・トールド・テールズ」。金井さんの長編は、ミクロな描写の積み重ねになる。それがいつしか脱線していったりもするのだが、その脱線は実は脱線ではなく、作品に奇妙な厚みや深みを与えるために必須のもので、時に呪術的に何度もイメージが繰り…

人格は変わる、そして巧みにコントロールされる

愛妻の日。そして愛菜の日。 サイボーグ009のメンバーのプライベート用の服のデザイン画を描く仕事をするのだが、描いたものは002用に描いたカーキのブルゾン以外、すべて戦闘服になってしまった、という妙な夢を見た。この夢はなぜか高校時代の陸上部の夢と…

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』

「ピース・オブ・ケーキ」。細部まで明確に覚えている記憶と、まったく思い出せない記憶。だが、思い出せない記憶も当時の、そして記憶を語ろうとする現在の自分を支えていることは確か。人は記憶でできている。ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド…

豆腐の上をタクシーが移動している

手首に激痛を感じて飛び起きたら花子の仕業で、時計を見ればまだ陽ののぼる気配も感じられぬ三時十五分、ということは花子のいつものライフスタイル、生態的習性から察するまでもなく、朝ゴハンと呼ぶにはあまりに早すぎる食事を催促しているわけだが、噛ま…

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』

やっと届いたので読みはじめた。洋裁店なのだろうか、ドレスと、そのドレスに関わる女性たち、そして主人公らしい男の子の姿が、1センテンスがクソ長くてミクロな描写がひたすらつづく金井節全開。ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ作者…

翻弄

六時三十分起床。つい先日まで起きても闇の気配が濃く部屋中どころか空全体をすっぽりと覆っている時間だったはずだが、一月も下旬になると日は春分の昼半分夜半分という調和した状態に向けてチマチマと伸びつづけているのは確かで、わずかではあるが空は黄…

高橋源一郎「日本文学盛衰史 戦後文学篇」(20)

「群像」2月号掲載。東浩紀『一般意志2.0』評。書かれていることはよく理解できるし納得。でも、これのどこが戦後文学やねん。でもまあ、タカハシさんの小説の場合は何でもアリだからな。群像 2012年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/01/0…

矯正作用

六時三十分起床。一年でもっとも寒い時期と言われるとおり、今年一番の、あるいはそれに限りなく近い冷え込みがつづいているようだ。外気に体をさらすと、幾枚かの衣服に身を包んでの、軟弱なさらし方ではあるというのに、たちまちくじけそうになる。だが一…

睡魔の呟き

五時四十五分に起きて身支度してドウブツの世話して仕事してドウブツにごはんあげてカミサンと荻窪駅に向かって空は晴れていて風は冷たくて中央線山手線と混雑する電車を乗り継いで浜松町に向かってモノレールに乗り換えて窓からカワウが数羽飛んでいったり…

今日の事件簿

早起き事件 ごはん事件 たばこ事件 無発作事件 いいね事件 共感者事件 似てる事件 お笑い事件 先帰り事件

保坂和志「未明の闘争」(28)

「群像」2月号掲載。富士山をめぐる話、のはずが大混乱、大迷走。 保坂和志の作品はこちら。一番好きなのは『季節の記憶』。

山崎ナオコーラ「昼田とハッコウ」(24)

「群像」2月号掲載。夜沢とハッコウの結婚式。そして、今明かされるハッコウ出生の秘密。というより「白虹」という名前の由来。昼田の孤独、そして虚勢。 山崎ナオコーラの作品はこちら。実は単行本、一冊ももってません。全部文芸誌で読んでます。

取材の日

五時三十分起床。ちゃっちゃかと身支度やドウブツの世話を済ませ、七時に出発。中央線、西武国分寺線、西武新宿線と乗り継いで川越へ。富士山がよく見えた。 某所にて某案件の取材。その後三鷹へ移動し、おなじ案件の別の取材。十六時、取材終了。昼飯ヌキな…

今日の事件簿

白銀的世界事件 小股歩き事件 多奈加亭調理パン事件 黙々事件 座敷童と語る事件 大塚違い事件 ペン着事件 なんで?事件

田中慎弥「燃える家」(16)

「群像」2月号掲載。強姦。ムナクソ悪い内容だが、事後の心理描写の心の揺れの細かさはさすが。群像 2012年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/01/07メディア: 雑誌 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る田中慎弥の作品はこちら…

重そうに散る

五時五十五分起床。猫大騒ぎであまり眠れず。 仕事。午前中は某生命保険会社キャンペーン、某筆記具メーカーカタログなど。 発芽玄米で昼食。 午後、雨が降りはじめるなかを外出。麻布十番、後楽園とはしごする。腹が減りすぎてフラフラしてきたので、ヴィド…

小野正嗣『マイクロバス』

何年前だったかな、の芥川賞候補作。初出の「新潮」で読んで、すっげえ作品だと思ったのだが単行本は買わずにいたところ、今日ふと通りがかった荻窪の古書店でワゴンセールになっていたので買ってしまった。また読み返してみよう。マイクロバス作者: 小野正…

大江健三郎「晩年様式集(2)」

「群像」2月号より。主人公・長江古義人≒大江健三郎の作品世界を、その裏側に隠れた現実を突きつけることで異なる面を引きだそうとしてる。というか、ブッ壊そうとしている。『取り替え子』あたりから顕著なのだが、小説内世界を虚構とわりきって作品を展開…

パンツかパンティーか

六時三十分起床。雨はわずかながらまだしとしとと路面やら屋根やらベランダの手すりやらを濡らしつづけている。ずぼらな人間なら傘などいらないと考えそうな程度ではあるが、降っていることに変わりはない。部屋の外の湿度とどれほど関係があるのかはよくわ…

David Sylvian「Victim of Stars」<予約>

ジャパン後期からヴァージン時代のソロ、そして独自のレーベル「samadhisound」を立ち上げてからの作品、と現在に至るまでのキャリアをざっと振り返ることのできる便利なベスト盤。新曲も1曲だけ収録されている模様。 表題は、アルチュール・ランボーの詩を…

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』<予約>

白内障(だったと思う。緑内障かも。目の病気です)で手術をした金井さん、5年ぶりの新作。「新潮」に時折掲載されていた短篇をまとめたものだと思う。「新潮」で何本か読んだが、目の不自由さと格闘しながら書いた渾身の作品のように受けとめられた。ちょっ…

円城塔「松ノ枝の記」読了

書くとは? 自分とは? 主体とは? 認識とは? 歴史とは? 人類とは? ……といった文学的・哲学的定義が本作の作品世界では危なっかしく揺らぎまくっている。世界はよくわからない。書くということもまたよくわからない。わからないとは、先が見えないという…

交通

六時三十分起床。昨朝の雪の名残りは部屋の中に濃く漂うようだが、だからといって冬の厳しさに身を締めつけられているような感覚は希薄で、むしろ雪から雨に変わったことで、気温こそ低くはなっているものの、何かがゆるみ、一気に流れ出したり流れ込んだり…

David Sylvian「Approaching Silence」「Blemish」

前者は抽象前衛的ダラダラインスト。こういうの好きなんですわ。 後者は2005年だったかな? に発表されたソロアルバム。近年のデヴィッドの作品の中では、一番気に入っている。前衛的な音作りなのだけれど、私小説みたいな詩の世界、そして絶望的で悲観的な…

円城塔「松ノ枝の記」

あら。現実にある疾患がモトネタ?群像 2012年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/12/07メディア: 雑誌 クリック: 6回この商品を含むブログ (26件) を見る円城塔の作品はこちら。『これはペンです』はスゴかった!!

哀しい感じ方

雪が降るかも、という予報を気にしながらだったからだろうか、眠りは浅く、おまけに雪に対して脅威も不安も感じていたわけではないというのに軽く緊張気味で、それでいてどこか上の空でもあったのだから、われながら妙な眠り方をしたと思う。ごはんをくれと…

週刊モーニング

「グラゼニ」ピークを過ぎた選手たちの苦悩と挑戦。 「ReMember」りゅ、龍治がタイヘンなことに! 「僕はビートルズ」どうなっちまうんだ? 虚言扱いか?グラゼニ(3) (モーニング KC)作者: アダチケイジ,森高夕次出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/12/22…

無音/喜びの歌

六時起床。平坦な、なめしたような曇り空。灰色が延々とつづく。だが東に近づくにつれてオレンジ色に染まっていく。空の平坦さにあらゆるものが巻き込まれたのか、妙に静かな朝。いつもは騒々しい鳥たちが、鳴かずに、そして音もなく、飛ぶ。 仕事。某健食メ…

円城塔「松ノ枝の記」

駆け引きなのか、ダマしあいなのか、はたまた虚言癖同士の戯言なのか。群像 2012年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/12/07メディア: 雑誌 クリック: 6回この商品を含むブログ (26件) を見る円城塔の作品はこちら。『これはペンです』はス…

近眼ネジ

六時起床。眼鏡をかけようとしたらツルのネジがはずれていた。幸い、ネジはすぐに見つかった。裸眼でよく見えない中、四苦八苦して精密ドライバーでネジを締め直した。 麦次郎、発作が起きていたときのことはまったく覚えていないようだ。いつもの朝とおなじ…