わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

古井由吉「瓦礫の陰で」

「新潮」1月号掲載。前半は、戦時中に瓦礫の中でゆきずりの他人とまじわってしまった男が、その女と再開すべく焼け野原を彷徨い歩く。妙なシチュエーションにたちまち順応し、あとになってそれを訝しむ。あるいは、それに惹かれる。その理由は、よくわから…

上野の森美術館「没後40年 レオナール・フジタ展」

日本を代表する画家でありながら、晩期はフランス国籍を取得し異国に骨をうずめた藤田嗣治の作品展。めずらしい初期の作品や、晩期の宗教画の展示が中心。目玉は近年に発見され修復されたという巨大な作品「ライオンのいる風景」「犬のいる風景」「争闘I」「…

中秋の名月に劣らぬ美しさではないか

気づけば花子め、ぼくの胸の上でアンモナイトのように体を丸めて寝ている。胸の上にアンモナイト。こりゃ夢見が悪そうだ。実際妙な夢だった気がするが、思い出せない。八時起床。 午前中は掃除。窓と玄関ドアを覆い尽くす、ものすごい量の結露に辟易。 午後…

町田康『夫婦茶碗』

「人間の屑」読了。これ、屑なヤツの批判ではなく、屑が生まれやすい社会構造への批判と、屑でも生き抜くことはできる、むしろ屑らしく生をまっとうして死んでみろ、そうすれば屑は屑でなくなる、最後に全部チャラになる、どうだチャラにしてみろってんだ、…

Palm web OS/Palm pre 発表 http://www.palm.com/us/products/phones/pre/index.html

うーん、何がすごいんだかよくわからん。ハードのデザインはつまらんし、操作方法はiPhone的なようだけど、それが使いやすいのかどうかって別問題だと思うし(ぼくはあまり評価していない)。PIMソフトの内容が不明(よさそうだけどさ)、日本語化可能かもわ…

初恋は淡くせつないが

雪だという予報は、都会人への脅しだ。メディアを通じて、ヨシズミだのあいちゃんだのに散々脅されて、脅されて、じゃあそれなりの心構えと準備で、と気合い満々で雪に備えた人は、今朝の、予報おおはずれの、冷たい真冬の雨が降っているとはいえ非常にやさ…

町田康『夫婦茶碗』

「人間の屑」。働かない。嘘をつく。たかる。孕ませる。まあ、よくぞここまでろくでもないエピソードをかさねたもんだ。夫婦茶碗 (新潮文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 53回この商品を含むブ…

おなじ終着点に行き着いているのだから

なんか気にいらねえな。心底そう思い、知らず知らずに呟いていることがある。大抵は、思惑通り仕事が進まなかったときだ。広告代理店や印刷会社などの直接のお客さまとの打ち合わせの場でこの台詞が心に浮かぶことは少ない。クライアント企業に出向いて直接…

町田康『夫婦茶碗』

「人間の屑」。バンド体験、ドラッグ体験、猫の死、そして上京。めちゃくちゃな堕落ストーリーだが、なぜか妙に一本芯が通っている。夫婦茶碗 (新潮文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 53回この…

掻く/肉をひたすらむさぼり食らう

痒ければ、掻く。これを我慢するのはニンゲンの大人でも難しいのだから、猫ならなおさら。治りかけた傷口は、痒い。痒いのだから、掻く。これは猫も人もおなじだ。だから花子は、掻いた。エリザベスカラーを付けているのに、掻いた。トイレを使うとき、これ…

町田康『夫婦茶碗』

「人間の屑」。野良猫観察とその家系図作成。尊属強盗未遂。禁煙失敗。ホントに人間の屑。「The 3名様」を思い出した。夫婦茶碗 (新潮文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 53回この商品を含むブロ…

花子にラッパを付ける→より甘えん坊でわがままに変貌→夜中に起こされる→ゴハンを与える→おしっこをさせる(一時的にラッパをはずす)→水を飲ませる→ウンコをさせる(一時的にラッパをはずす)→布団に入る→寝るなと言われる→しばらくかまってやる→眠いので寝…

町田康『夫婦茶碗』

「人間の屑」を読みはじめる。本当に人間の屑だな、こりゃ。夫婦茶碗作者: 町田康出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る浄土作者: 町田康出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/06/06メデ…

花子ラッパ

またまた耳の付け根をひっかいてしまったので、今日からラッパ生活。エリザベスカラーを付けると、甘えん坊がスーパー甘えん坊に進化してしまうから厄介なのだが、仕方ない。 比呂美ねーさん、セキセイインコのお悔やみ申し上げます。

ひじきとカレー

ひじき食いてえ。お出汁にびちゃびちゃに浸った真っ黒黒助なひじきをどんぶり一杯一気食いしてえ。朝からそんな思いにとらわれていた。焼き肉でなくピザでなく餃子でなくひじきだったのは、おそらく無意識の領域では自分の胃袋の不調を感じており、しかし食…

堀江敏幸『未見坂』読了

表題作「未見坂」。企業の思惑と地域の暮らし。企業活動が、のんびりとした緩やかな共同体が抱える異物のように思えてしまう。しかし、その一方でそれは共同体を動かす原動力でもある。 「トンネルのおじさん」。地方に住むおじと、少年との絆。山で土を掘る…

町田康『夫婦茶碗』

表題作、読了。近年の町田作品よりもパンク色が強い。というか、この内容ならパンク文学と言われても納得できる。『告白』や『宿屋めぐり』は、断じてパンクではない。そんなカテゴリーに縛られてはいけない作品。夫婦茶碗 (新潮文庫)作者: 町田康出版社/メ…

薄まるというか、痛まぬというか

冬休みも今日で最後。休みであるという自覚がもっとも強く現れるのは目覚めてから起き上がるまでの時間だ。休むのであれば、ここでドウブツたちにゴハンを与えたあとで二度寝を決め込んだり、わりいドウブツたちよ、ゴハンはいつもより三十分遅れで我慢して…

堀江敏幸『未見坂』

「消毒液」。共同体における、異なる家族同士のつながりと、不可侵な領域。未見坂作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (60件) を見る河岸忘日抄 (新潮文庫)作者: 堀江敏幸出…

悲しみが感じられなくなること

現代においては要不要がモノを買う基準にはならない。おそらくは、この衝動をつかさどるのは欲だ。物欲。この欲、性欲だの食欲だのとは違って他力依存型なようで、刺激されないと沸き起こらないらしい。見ないと、知らないと、触れてみないと、欲しくならな…

2009年

ぼくの野望が叶う ぼくのやっている会社がどーんと売上&利益率アップ カミサンの個展、絵画作品があっという間に完売 あっけらかーんと景気回復。失業率も倒産率も激減。一億総中流時代の再来。ただし価値観は多様化したままで Palm OS Novaが期待以上の完…

堀江敏幸『未見坂』

「戸の池一丁目」。バス停と雑貨屋を中心に描かれる、地域の共同体の全体像とそこに根付く人々の生活、そして感情。 「プリン」。他の作品は地域というエリアローカルな共同体、あるいは家族というミニマムな共同体が描かれていたが、本作では「血族」「親族…

町田康『夫婦茶碗』

表題作。愚かな発想。暴走するマイナスの想像力。主人公の経済状況は悪化の一途をたどるばかり。子どもの誕生が、これをどう変えるのか。夫婦茶碗 (新潮文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/04/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 53回…

正月の領域

食らうことは生命活動の基本であるが、基本に忠実では応用力が効かなくなる。すなわち、他の楽しみが失せる。正月が来るたびに、そう思う。思うに子どものころの正月は生命活動の基本をできあいの半保存食という分野で究極のレベルまで追究するおせち料理を…

堀江敏幸『未見坂』

「なつめ球」。両親の不和を遠くから語っている。 「方向指示」。文体は明らかに堀江さんだが、やっていることは古井由吉に近いかも。中年女性の狂気のようなものが、ちらりと。未見坂作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/10メディア: 単行本…

あけましておめでとうございます

気づけば眠っている。長期休暇は鋭気を養うためのものだというが、養っているのは気よりも体のほうだ。いや、体を養っているとも言いがたい。年末年始、食事の量はおのずと増える。それを消化することに器官が、すなわち体の一部が、せわしなく働くことにな…