わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

中上健次『鳳仙花』

主人公のフサは、故郷の古座を離れ、新宮の材木屋・佐倉の家で奉公をはじめる。荒くれた男たちや不景気のまっただ中にあるというのに強気な商売をつづける佐倉の鼻息の荒さにフサは気圧され、漠然と故郷を恋しく思う。新宮に向かう道(といっても船で行った…

やっぱりユルいな

五時半には目が覚めたが、布団の中で三十分ほどウダウダしていた。雨の気配はまるでないが、陽が射すわけでもなく、少々湿った空気がこの季節としては嘘くさく感じるほど冷たい。曇り空を見る度に、あの厚みと濃い灰色が、空から一切の季節を奪う、と感じる…

中上健次『鳳仙花』

フサが新宮へ奉公に行くことに。突然沸き起こった、家を離れることの悲しみ。切なさが、土地の力強さに溶け込んで、不思議な美しさを醸し出している。こういう書き方は、この作品独特のもの、かな。鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫)作者: 中上健次出版…

ありがたいことだ

六時十分起床。曇り。花子、昨夜は騒がなかった。だが、日記にあれこれ書いたのを感づいていたのか、いつもはぼくの頭に腹をペタリとくっつけてゴロゴロと喉を鳴らしながらいっしょに寝るのに、一晩中、一体どこで寝ていたのやら。 仕事がかなり落ち着いてい…

中上健次『鳳仙花』

年に一度くらいの割合で、猛烈に中上が読みたくなることがある。多くが、ちょっと精神的に弱っているときや変化を自分に求めているとき。あの獰猛で猥雑、しかし美しい文体と世界観に秘められたエネルギーを、欲しているのだと思う。 『枯木灘』『岬』『地の…

頼むから寝てくれ

花子、今夜も騒ぐのか。昨夜も騒いだ。その前もそうだ。おやすみなさい、といいながら照明を落とし、つま先から布団に潜り込んで目を閉じ、さて今日もなんとか終わった、などと思うや否やたちまち眠りに落ち、五分後か、遅くとも十分後には意識が飛んでいる…

古井由吉『夜明けの家』読了

「死者のように」。本作品集のほとんどに登場する死者が、ここでは出てこない。代わりに現れ、物語の中心となっているのは、語り手が大学教員をしていた三十年近く前に学生だった男。語り手は男と電車の乗り換えで偶然再会し、それを気に、埋もれていた彼に…

質実剛健、それでいて遊び心に満ちている

七時起床。雲優勢の空にときおり朝日が差すたびに、布団を干そうかと思ってしまう。だが梅雨の時期の布団干しは危険きわまりない。この時期に空の気まぐれさを甘く見て布団を干してから出勤し、あとは想像通りの惨状となったという話を知っている。豪快なく…

限りなくブラックに近いローライズ気味の立体裁断

六時起床。昨夜の慌ただしさの残りを早朝から処理。要するに、仕事だ。某家電メーカーの液晶ディスプレイのカタログ。もそもそと作業をつづけ、午前中のうちに終わらせた。 午後からカミサンと外出。伊勢丹でメンズのスペシャルセールがあるというので勇み足…

古井由吉『夜明けの家』

表題作。早朝に近所の公園で見かけた羽根の折れた鴉の生死を気にする場面からはじまり、夢で見た夜明けの家の様子、少年時代に明け方の街を徘徊する八十過ぎの老人にどうやらとうの昔に他界した息子と間違われたらしく、そのまま家まで送り届けたエピソード…

寝つくのは異様に早い

今日も六時起床。だが夜中に三度ほど起きている。いずれも花子がふにゃんふにゃんと騒ぎはじめたから。熟睡できないことに身体が順応しはじめている。いや、短時間でぐっすり眠れるようになっているのか。たしかに、寝つくのは異様に早い。枕に頭を付けて、…

音と空の色

今日も六時起床。朝のうちは強かった雨が、次第に弱まっていくのが音と空の色でわかった。 午前中は都内某所にて某飲食チェーンのプレゼン。個人的にはあまり納得できなかったのだが、得意先の感触は決して悪くない。ありがたいが、釈然としない。 午後は時…

何もせずにとっとと

六時起床。 朝から細かなポカがつづく。こういう日は何もせずにとっとと寝るに限る。

古井由吉『夜明けの家』

「通夜坂」。友人と、どちらが先に死ぬか、死んだほうに十万払うこと、と約束した男が、先立たれた友の葬式に十万円の香典を包む。 語り手の中で、斎場内に張られた白い幕と、十万円包んだ男が語った思春期の記憶の中に残る、女の部屋のカーテンの記憶が妙な…

都会では十分な材料がないのだろうか

六時起床。曇り。濃淡のない雲のもと、あじさいの紫が輝くように映える。 早朝より外出。都内某所のスタジオにて、某アパレルメーカーカタログの撮影立会と打ち合わせ。少しずつ気温が上がりはじめたようで、ジャケットの内側で汗がつっと流れた。 つづいて…

古井由吉『夜明けの家』

「ホトトギス」。七十の父親と二人暮らしをする二十二の青年が、田舎道で偶然知り合った女と夜な夜な逢瀬を重ねる。夜中に抜け出すたびに、老いた顔で熟睡する父にある種のイラツキを覚えた青年は、三十数年後、語り手とふたりで盃を交わしながら、女との関…

一度踏ん切りが付いてしまえば

六時起床。雨。朝の冷えた空気に、ベランダの手すりにできた小さな水の玉がわずかに震えていた。 比較的余裕のある一日。某薬品メーカーパンフレットなど。 夕方、時間が空いたので蔵書を整理する。捨てられる本、ないなあ。などと思っていたが、一度踏ん切…

古井由吉『夜明けの家』

「百鬼」。幼いころの、百鬼夜行の噂。そして偶然見かけた闇米の運び屋の姿の記憶。運ぶ男たちの姿が百鬼のようだった、とは書かれてはいない。むしろ、後ろめたさや虚しさの裏側に隠した男の優しさ、生死を通り越したところにある普遍的な、誰もがわかって…

叱らなかった

昨夜、日付が変わって三十分ほど経ったあたりで、花子がウンコした。三日ぶりだ。猫トイレから飛び出してきたところを抱きかかえ、腹毛だの腿毛だのにからみついた細かな砂粒を、パパパッと払ってからビニール袋にウンコを入れ、トイレに設置した猫専用ゴミ…

古井由吉『夜明けの家』

「草原」。イスラムの、千年前に磔刑された男のエピソードから、古井さんの作品に度々登場する頸椎の手術のエピソード、そして手術の直前に見た夢のように描かれる、投資の対象にされ、工事が中途半端な状態でストップしたままの土地。語り手はそこで、知人…

目で追い振り返りながら比べるだけで

七時起床。朝のうちは雨が荒く散るように降っていたが、午後になるとやんだ。晴れ間が恋しいが、しかし空は相変わらず鉛色、いくぶん黒みが薄まった程度で、爽快な青空にはほど遠い。 午前中は掃除。午後は家の雑用を済ませてから、ちょっとだけ散歩。高幡不…

古井由吉『夜明けの家』

「山の日」。ふと気まぐれのように訪れた湯治場で、女将の口を借りて、離婚後に亡くなった妻の声を聞く……。夜明けの家 (講談社文芸文庫)作者: 古井由吉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/09/10メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (23件) …

おやすみなさい、と寝床に入るや否や、それまで寝惚け眼だったクセに文字通り獰猛な豹を思わせる豹変ぶりで、ウーッヒャーン、と甲高く鳴きながらズダダダダダとあちこち走り回るのはなぜだ、花子。しかも、それを二時間おきにやるな。夜中だ。寝ろ。夜行性…

古井由吉『夜明けの家』

「不軽」。大学生時代、語り手の家の近くに住んでいた芥見という同学年の男が、知らず知らずに、見も知らぬ男に手を合わせ拝んでしまい、それが原因で男に殴られてしまう。そんなことがないように、と語り手は芥見が目白まで金を用立てに外出するのを付き添…

女子高生がじっと見つめていた

六時起床。昨日とおなじような目覚めかた。 八時前から仕事に取り掛かった。某家電メーカーカタログ。終日たっぷりかかるかと思っていたが、意外に効率はよく、午後早々には終わってしまった。夕方は、キャンセルする予定だった打ち合わせに参加するために飯…

古井由吉『夜明けの家』

「火男」。北海道のホテルに滞在中、突然襲いかかった中型の地震。語り手は、バーで出会ったホテルの警備員だという五十代後半の、長らく不眠症に悩まされているという男の話す、学生時代の、自分と女、そして入院中の死期が迫った母の三人だけが強く感じた…

夢の内容を覚えていない/FULLのランプが

夢の内容を覚えていない。おそらく近ごろは、空が白みかけたあたりから、つまり猫たちのためにゴハンを用意したあとで二度寝し、ある程度時間が過ぎてから、自分は寝ているのか、夢の中にいるのか、それとも目が覚めて布団の中でいつ身体を起こすか、そのタ…

古井由吉『夜明けの家』

「鳥の日」。北ヨーロッパの干潟を一人で旅する語り手が、最終日の夜になかなか寝付けぬ中で、あれこれと干潟の記憶を辿ってゆく。そこにある自然の営み、そして人の営み、人の死……。 気に入った部分、引用。 (前略)堤防の内側の荒れた牧草地の上空で、一…

ラッシュアワーの山手線並みに

五時五十分起床。昨日は終日ひどい頭痛に悩まされていたというのに、不思議と今朝の目覚めはよい。やはり集毛針療法が効いたのか。ロキソニンに頼らなくてよかった。 [rakuten:isk-tokyo:402276:detail] 午前中は某アパレルメーカーカタログに集中するも、別…

古井由吉『夜明けの家』

「クレーンクレーン」。おそらくは古井さん自身がモデルと思われる語り手の住む集合住宅が修繕工事のためにすっぽりと幕に覆われてしまう。見かけた工事用のクレーンの鶴に似た姿のイメージが、その後の語り手の頸椎の手術による入院体験、そして友人青山の…