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わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

読書日記

佐々木敦「新・私小説論(11)「一人称」の発見まで(承前)」

「群像」2017年1月号掲載。主語の省略の問題と小説の人称の問題。誰が語るのか、という主観/視点の固定化(あるいは流動化)は、映画のカメラワークに似ていなくもない。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/12/07 メディア:…

三浦雅士「言語の政治学(6) 光のスイッチ」

折口信夫の視覚/呪の考えから、一気にメルロ・ポンティへ。でも、全然論理的に飛躍していない。不思議なつながりだ、と思ったが、折口の仕事の永遠普遍性を考えたら、アタリまえの事なのかも。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日:…

三浦雅士「言語の政治学(6) 光のスイッチ」

「群像」2017年1月号掲載。 白川静の、折口信夫から受けた影響について。「産」という漢字が額に記した入れ墨という白川の節はおもしろい。生まれた者が額に入れ墨を入れると「彦」(=おとな)になり、その入れ墨を入れた額のことを「顔」という。そして額…

大澤真幸「〈世界史〉の哲学(87) 近代篇2 カトリックの政治革命/プロテスタントの精神革命」

カント/ヘーゲルのドイツ観念論とフランス革命の関係。うん。 群像 2016年 12 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 大澤真幸の作品はこちら。

大澤真幸「〈世界史〉の哲学(87) 近代篇2 カトリックの政治革命/プロテスタントの精神革命」

「群像」2016年12月号掲載。フランス革命はなぜカトリックが主流のフランスで起きたのか。現代で言えばプロテスタントはリベラル、カトリックが保守って感じなのに。……ってところを紐解いていく。鍵となるのは、フランスがイギリスなどのように宗教革命を経…

佐々木敦「新・私小説論(10) 「一人称」の発見まで(承前)」

「群像」2016年12月号掲載。まだ12月号を読み切れてないんだよね。 日本語は主語を省略できるという特性があるが、ゆえに日本文学には「人称」という概念はないのではないか、という仮説のもと、係助詞「は」と格助詞「が」の違いなどを、金谷武洋、三上章と…

長嶋有「もう生まれたくない」読了

「群像」2017年1月号掲載。 冒頭で空母の妄想をしていた、夫を不慮の事故で失った女性の意識が消えていく、そんな描写で作品は幕を閉じる。この女性が他の登場人物や著名人=他人たちのように亡くなってしまったかどうかはわからない。もやもやする。そして…

長嶋有「もう生まれたくない」

小さな盗癖、おんなったらし、イマドキの大学生活、妄想癖…。作品世界全体を覆う「誰かの死」とは関係ないエピソードが鎖のようにつながる。そこに突然、大切な人の不慮の死が挟まる。死は悲しみであると同時に、負荷であり、労務であり、事務処理であること…

長嶋有「もう生まれたくない」

接点のない有名人、微妙に接点のある知人。さまざまな死が、登場人物たちの人生をかすめていく。死は、知らぬ間に日常のなかへ組み込まれていく……。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/12/07 メディア: 雑誌 この商品を含む…

へんなおっさん

五時三十分起床。大掃除はほぼ終了、と思っていても次から次へと気になる部分が出てきてしまう。だがきりがないし、そんな場所は大抵手の届かないような場所で、労力のわりには見た目の変化にとぼしく、さらに苦労して作業してもハウスダストのせいで喘息発…

長嶋有「もう生まれたくない」

X JAPANの初代ベーシストの死、そしてスティーブ・ジョブズの死。さらにはMacの「サッドマック」すなわちコンピューターの死(のメタファー)。断続する死。それらに断片的に接する登場人物たち。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売…

長嶋有「もう生まれたくない」

直線的につながっていた登場人物たちが、急に複雑な人間関係を織りなしはじめた。その、折り目の間に、あるいは中心に、自分たちとはほとんど関係ない人物の「死」が存在している。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/12/07 …

長嶋有「もう生まれたくない」

「群像」2017年1月号掲載。長嶋有の小説を読むのは何年ぶりだろう。一時期「群像」で連作短篇をやっていたけれど、それ以来かな。ブルボン小林名義のコミック評論やエッセイは時折読むのだが。「たまむすび」にも年1回くらいのペースで出演しているし。 舞台…

磯崎憲一郎「鳥獣戯画」(11)

「群像」2017年1月号掲載。 承久の乱と明恵。私小説的なスタートだったはずなのに、気づけば歴史小説になっている。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/12/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 磯崎憲一郎の作品は…

佐伯一麦「山海記」(7)

「群像」2017年1月号掲載。 水害の地をめぐる旅の記録が、どんどん歴史の重みをおびるようになる。このまま歴史小説に変質するのか、と思いきや、友人の死という出来事によって語り手/主人公は歴史空間から強引に現実に引きもどされる。いや、時系列を追う…

今日の事件簿

鼻きれぎれ事件 久々のソーダブレッド事件 俺シャツ買った事件 俺シャツ買った後に妻リュック買った事件 妻リュック買った後にシュトーレン買った事件 シュトーレン買った後に注連飾り買った事件 注連飾り買った後にクッキーもらった事件(ありがとう) クッ…

瀬戸内寂聴「いのち」(9)

「群像」2017年1月号掲載。 大庭みな子の突然の脳梗塞。大手術ののちに見舞いに行くと、寂聴と連れの女性編集者は、包帯ぐるぐる巻きのオバケ状態になっていた大庭から、「河野多惠子は悪人」と言われ、慌ててその場去って寂聴大爆笑。ちょっと悲しい爆笑だ…

多和田葉子「地球にちりばめられて」(2)

先週、今週とやたら慌ただしいので、ちょっとずつしか読めていない……。 (全部読んでるわけじゃないけど)今までの多和田作品以上に、「言葉」へのこだわりが強い。 群像 2017年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/12/07 メディア: 雑誌 …

戸田山和久『哲学入門』

ひとまず本編読了。今は参考書籍のページ(も本編と変わらない感じ)を読んでいる。 唯物論の範囲をはみ出した、でも科学的なアプローチでこの世界の仕組みについて迫った意欲作だと思う。哲学は人生訓の集合体なんかじゃない。でも、世界を知ること、人間と…

多和田葉子『地球にちりばめられて』

「群像」2017年1月号掲載。表紙がコケッコー。あ、オレ来年、年男だ。 若き言語学研究者を語り手にした先月号から一転、今月号は国を失った女性Hirukoの視点から物語が展開する。浮遊感と迷子感の強い文体は今回も冴えまくっている。 群像 2017年 01 月号 […

吉行淳之介「焔の中」

戦時中だというのに化粧をして悦に入って婦人会の偉そうなオバハンに目を付けられてしまった女中。その女中を放任する美容師の母、追い出そうとする息子。どうしても、朝ドラ的な視点で読んじゃうなw。田中美里ちゃんがアタマから離れなくなる。 群像 2016年…

吉行淳之介「焔の中」

「群像」2016年11月号掲載。初出は1955年。吉行淳之介を読むのは、たぶん初めてだ。大御所だから学生の頃に読んでいるかもしれないが、全然覚えていない。 眠ってしまったのであまり読めていないのだが……戦時中の日常の描写から作品ははじまる。美容室を開い…

デブまっしぐら、ではない

五時四十五分起床。眠い。だがすぐに目は覚めた。 麦次郎はウンコがきちんと出ているのに、出ません出ませんと主張し、トイレ以外の場所でもきばろうとする。そしてそこで出してしまった。間一髪、床に落ちる前にペットシーツでキャッチできたが。コジコジは…

長く長く伸びながら

五時四十分起床。ちょっと冬かな、という感じの朝。微かにセピア色を帯びた朝日が長く長く伸びながら路面を照らす。麦次郎、ウンコ出たのに糞詰まりな感じ。コジコジは今日も求愛行動の吐き戻し。 朝から外出。小石川で案件Aの打ち合わせ。昼食を挟んで案件B…

瀬戸内寂聴「いのち」(8)

「群像」2016年12月号掲載。 河野多惠子との友情。屈折した部分と素直な部分の同居。 群像 2016年 12 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 河野多惠子の作品はこちら。

佐々木敦「新・私小説論」(9)

「群像」2016年11月号掲載。副題は「「一人称」の発見まで」。 近代に到るまで、日本の文学には人称が明確に存在しておらず、この概念が確立したのは言文一致体の二葉亭、美妙の仕事による。そして谷崎の人称に対する意識と理解の高さについて。 日本語は非…

舞城王太郎「トロフィーワイフ」

「群像」2016年12月号掲載。 姉にコンプレックスを抱く妹が、姉の奇妙な理由による離婚の危機に首を突っ込むことになる…。 軽妙で読みやすいのに書いてあることはまどろっこしい舞城節は本作も健在。 群像 2016年 12 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発…

庄野潤三「プールサイド小景」

「群像」2016年10月号の短篇小説名作特集掲載。同誌の1954年12月号に掲載されていたそうだ。 庄野潤三はたぶん初めて読む。読んだことあるかもしれないけれど、覚えていない、というレベル。まだそんなに読めていないのだが、今のところは、会社の金を使いこ…

三浦雅士「言語の政治学」(4)

「群像」2016年11月号掲載。折口と大岡信の、まさかの精神的共通点。なるほど、大岡は笑いをうまく取り入れているのに対し、折口は笑いから距離を置き重く湿った方向に向かいがちだけれど、ともに直感的かつ切り込み方の深さは共通していると言われればそん…

安岡章太郎「悪い仲間」

嫉妬、そして心の変化と裏切り。主人公の苦悩の先には、太平洋戦争開戦というパラダイムシフトが待っている。その前払い的な経験だな、こりゃ。 群像 2016年 10月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/09/09 メディア: Kindle版 この商品を…

大岡昇平「ユー・アー・ヘヴィ」

「群像」2016年10月号の短篇再掲特集掲載。名作『俘虜記』の裏話、って感じかな。大岡昇平を読むのは三十年ぶりくらいかも。大学生の時に『野火』で衝撃を受けて、その流れで『俘虜記』を読んだ。その直後に大岡昇平が亡くなったんだったなあ。 群像 201…

今日の事件簿

麦次郎、調子に乗りすぎ事件(何度も何度も外に出せと言うな) コジコジのゴハンがゲロまみれ事件(ゲロはインコなどの求愛行動です) 手形事件 トイレめちゃチカ事件 突然のおいなりさん事件 画集とにらめっこ事件 突然の雨事件 どこの誰かは知りませんがお…

それなら歩いた方がいい

五時四十五分起床。肌寒い。ゴミを捨てに外へ出ると、冬のはじまりを思わせる冷たい空気がしずかに周囲を覆っている。風はない。くずれて横へたなびくうろこ雲の様子から察するに、空ではそれなりの強い風があるのだろう。黄色い朝日はさほどまぶしくない。 …

三島由紀夫「岬にての物語」

風呂で読んでいたのだが、あまりの眠気に2ページでダウン…。 幼い少年の緻密なのにあどけなさと好奇心に満ちたまなざしと、三島ならではの硬質なのに粘着質な文体のミスマッチ感が逆におもしろい。 群像 2016年 10月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社…

今日の事件簿

ZELDAのアコさんが夢に出た事件 止まり木ゲロ落とし事件 パタパタフサフサ事件 土曜日に郵便局はやってない事件 パン事件 ちゃっと起きて洗い物事件 仕事事件パート1 仕事事件パート2 超早歩きウォーキング事件 インコ恍惚事件 リケンのノンオイル中華ゴマ事…

三島由紀夫「岬にての物語」

「群像」2016年10月号掲載。 三島の文章を読むのは二十年ぶりくらいかな? あの硬質さと軟体動物的なグロテスクさの入り混じった文体が、なかなかなじめない…。 群像 2016年 10月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/09/09 メディア: Kind…

週刊モーニング

「グラゼニ」駆け引きだなあ。 「ジパング深層海流」泥沼だなあ。 「コウノドリ」地味だなあ。 グラゼニ?東京ドーム編?(8) (モーニングコミックス) 作者: 森高夕次,アダチケイジ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/09/23 メディア: Kindle版 この商品…

岡本学ぶ「再起動」

教団の崩壊。そして… 物語として、よくできているなあ、という感じ。現代という時代に巣食う病を、たんぱくでやや独りよがりな文体で語っている。 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブ…

今日の事件簿

掃除ばっかし事件 ひじき納豆事件 「〈世界史〉の哲学 近代篇」スタートはマルクスとナポレオン、あるいは資本主義の起源事件 「言語の政治学」大岡信紀貫之人麻呂紫式部事件 麦次郎ウンコ二粒事件 麦次郎徐々にリビングルームへ事件 コジコジゲロ事件 ウォ…

岡本学「再起動」

ビジネスのために主人公たちが立ち上げた新興宗教。その虚構から成立しているはずの教義や修行は、いつしか信者たち自身の手によって魂を込められ、現実化していく。 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メディア: 雑誌…

岡本学「再起動」

「群像」2016年11月号掲載。この作家のことは全然知らないのだが、新興宗教をテーマにした作品ということで読みはじめてみた。 比較的軽めの文体。ITをうまく取り入れている。 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メデ…

週刊モーニング

「グラゼニ」ついに契約更改のエピソードに突入。金の話全開! 「CITY」。絶妙なテンポ。こういうのスキです。 「ジパング深層海流」静御前、ということになるのか? グラゼニ?東京ドーム編?(8) (モーニングコミックス) 作者: 森高夕次,アダチケイジ 出版…

磯崎憲一郎「鳥獣戯画」(9)

「群像」2016年11月号掲載。 話題は明恵から文覚へ。語り手の小説家も京都で合流した女優も、どこに行ってしまったのだろうw 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 磯崎憲一郎…

瀬戸内寂聴「いのち」(7)

「群像」2016年11月号掲載。 河野多惠子とのクサレ縁的な関係、そして若い秘書との漫才的な掛け合い。いとおしさと、怒りと、悲しさと、笑いとが複雑に交差していく。 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メディア: 雑…

佐伯一麦「山月記」

「群像」2016年11月号掲載。 水害の記憶をめぐる旅から、身近にある水害の記憶へ--。 群像 2016年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 佐伯一麦の作品はこちら。

週刊モーニング

「グラゼニ」波瀾万丈だよなあ、凡田夏之助は。 グラゼニ~東京ドーム編~(9): モーニング 作者: アダチケイジ森高夕次 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/11/22 メディア: コミック この商品を含むブログを見る グラゼニ?東京ドーム編?(8) (モーニング…

座談会「群像70年の短篇名作を読む」

そうか、短編小説で恋愛というのは成り立ちにくいのか…。一瞬を切り取るような形で描かれた恋愛よりも、物語としての恋愛のほうが読者は興味を示すだろうし、小説としての完成度も高くなるのかもしれない。 群像 2016年 10月号 [雑誌] 出版社/メーカー…

座談会「群像70年の短篇名作を読む」

「群像」2016年10月号掲載。創刊70周年記念の短篇名作選の記念座談会。辻原登、三浦雅士、川村湊、中条省平、堀江敏幸。この五名の意見を聞きながら、編集部が54作品を選んだらしい。 作家も評論家も入り交じっての座談会。ひとまず前半を読んだが、ちょっと…

多和田葉子「マヤコフスキーリング」

「新潮」2016年10月号掲載。「通り」をテーマにした連作の完結編。 道の紹介なのかと思いきや、いつの間にか語り手の妄想世界なのか幻覚なのかパラレルワールドなのか、異世界に読者は引き込まれ、奇妙な説得力と不条理なできごとが複雑にからみあう作品世界…

古井由吉「その日暮らし」

連作完結。病に壊れた体をなんとか動かしながら、いつものように散歩し、仕事し、疲れや眠気とうまく付き合う。それがタイトルの「その日暮らし」。ここ数年、いくつもの連作を重ねながら作者は「老い」を書きつづけている。歳をとるという事実をを受け入れ…